熱血

 土曜夜の痛飲を引きずっている感じで、重い体で出勤。気分が悪いような悪くないような、不安なような。わかりやすい二日酔いにはならない。
 気分が悪いような気がする日に昼ご飯をがっつり食べると、午後から「気分が悪いような気がする」に拍車がかかってしまうので、今日は朝行きがけに小倉駅でパンを買った。軽い昼食の予定で。
 お昼になっても、悪いような気分がする、は続いていたので、今日は昼ご飯を抜いた。前の会社ではよく抜いていたけど、この会社で働きだしてからは初めて。胃が動いている気がしなかったのだ。
「胃が動いていない。食べない」と同僚に宣言し、いつもの席でぼんやりしていることも考えたけど、気晴らしに外に出る。近くの綺麗な公園でベンチに座って、一本タバコを吸った。コーヒーもやめておいたほうがいいだろうと思って、温かいお茶を買った。
 夕方になって気分がよくなった。会社帰りに三十分ほど小倉の街を歩いてから帰ろうかなと最近思っていたので、それを実行した。よい気候のこの季節でも、歩けば汗は結構出る。三十分ほど歩いてから電車に乗ると、自分だけ汗をかいていて変だった。朝買ったパンは家に帰ってから夜ご飯として食べた。こんなもんでいいだろう。
 そういえば帰りの公園では、星飛雄馬星一徹の親子を見かけた。

クゥクゥとハロウィーン

 小学生のとき、近所にクゥクゥという名の犬がいた。僕が前脚を持ち立たせて歩かせると、いつも「くぅ〜 くぅ〜」と、楽しいのかしんどいのかよくわからない声を出していた。やんちゃな小学生時代だったので、もしかしたら犬がきつい思いをしているのかもしれない、などと考えることもなく、よくそれをやって遊んでいた。そして今、僕のお腹から、あのころのクゥクゥのような音がしている。
 先日会社がハロウィーンだった。仮装勤務の日というやつだった。でも別に仮装して出勤することが義務付けられているわけではない。好きな人はコスプレレベルで仮装してくるし、ちょっとオレンジ色の何かを身につけるという人もいるし、何もしない人もいる。僕の場合はシャツが若干オレンジ色で、靴がオレンジ色だった。偶然。
 普段取り澄まして仕事をしているような若い女性が、急にとんでもないミニスカートのコスプレでやってきたりしてびっくりした。すごい気合いが入っているので、何か言わなきゃいけない気になったけど、一番素直な感想は「すごいですね」だった。すごいですねと言われても困るだろう。似合いますよ、も仮装なので少し変。あとは服装に合った言葉、エロいとかキュートとかセクシーとかになるけど、それは言いたくない感じ。いっそ「パンツ見せろ」でいいんじゃないかと思った。
 それにしても一般的なハロウィーンの仮装って、テレビで見る限り案外グロテスク路線のようだ。うちは全然そんなことなかった。ひとりだけ、ナタで頭をかち割られたまま、一日を真顔で過ごした女性がいた。次の日は社内で実施される健康診断の日だったようで、頭はちゃんと治っていた。

場違いなスローフード

 昨夜は餃子の王将で晩ごはんを食べて帰ってきた。焼きめしとニラレバ炒めの(小)。あえて言うまでもなく、ものすごくおいしい料理を出す店ではない。でも、「焼きめしとニラレバ……」とふいに思ったときに、その二つがポンと出てくる店はなかなか貴重だ。
 それにしても小倉の王将はとても店員さんたちの威勢がいい。店長らしき人も見る限り従業員さんたちに優しく、とても人柄が良さそうだ。だけど、みんな動きは遅い。遅いとまではいかないかもしれない。でもテキパキとしていない。店員の動きが遅いのは全然構わないのだけど、遅いのに威勢がいいってのはすごく違和感がある。気持ちがそわそわする。むちゃな戦争をしていないか? 国力に合っていないんじゃないか? のんびりやってくれてもいいんだよ。
 あの店はカウンター席の間隔がとてもせまい。たくさん料理を注文する人が隣同士になると、料理の皿が接触しそうなくらいだ。僕は昨日二品とスープだったし、両隣も普通の頼み方だったので、皿が接触しそうになることはなかった。
 喧騒に満ちた店内、せまいカウンター、どうしてもガツガツと食べたくなる。あの店のカウンター席で、混んでいる時間にゆったりと食事を味わうことができれば、それは人間的にどこかに到達した印だろうなどと思ったりした。場違いなスローフード。イメージは、ああいう店になぜか紛れ込んでしまったおじいさん。喧騒に構わず、ひとり餃子をじっくり食べるような。おばあさんでもいい。

週末雑感

 金曜の夜はずいぶんとお酒に酔ってしまい、風呂にも入らずに寝た。なんとか布団を敷いてバタンと。記憶がなくなったりするようなことはなかったけど。飲んだ量はビール350mL缶1本、ウイスキー2杯、焼酎1杯くらいである。5年くらい前なら、これくらい毎日飲んでいる時期もあった。めっきり弱くなったものだ。でもこの年齢くらいでなぜか一段階酒に強くなるような人がいるらしく、そういう人がアルコール依存症になったりするらしいので、弱くなってよかったと思うことにしよう。華麗に加齢。
 そんなわけで土曜日は午前中までぐったりとして過ごす。夕方くらいに酒が抜け切った感覚があったので、車検後初めてクルマを走らせた。クルマはとても快調なように思えた。思えば4年くらい前にクルマの免許を取りに行き、取得間近に人に勧められるまま買ったクルマであった。そのためこれまで特に愛着というものを意識したことがなかったが、ここにきて、もうすぐ10万キロという段階になって初めて、なんだか愛着というものを持て始めている。愛着を持つまでに6万キロかかった。
 前の会社にはクルマで通勤していたので、1日50キロ乗っていたが、今は電車通勤でめっきりとクルマに乗らなくなった。ずっとクルマの点検をお願いしているクルマ屋さんもびっくりしていた。半年間で900キロしか乗っていなかったらしい。今後はもうちょっとクルマに乗ろう。あんまり乗らないのも、クルマにもよくないらしいし。
 NTT西日本からフレッツ光の提供範囲になったよ、というメールが来ていたので、特に考え込むこともなく素直に申し込みをした。我が家は2回線電話回線があるのだけど、僕名義の回線は今後光電話も利用せず、ブロードバンド専用となる予定。光になるけどADSLより安くなるんじゃないだろうか。メタル回線の固定電話使用料分がなくなるので。よくわかっていない。
 こういうのを、なるだけお得になるようにと情報を集めたりきりきり考えたり、そんな風にがんばったりはしない。がんばればお得になる、というような時代はもう終わったのだ。今の日本は、がんばらないと損をするかもしれない時代。僕は損をしているかもしれないが、まあみなさん僕のためにいいようにやってくれい、ということである。
 あとブラタモリの富士山編が面白かった。タモリさんは自然とのマッチングもなかなかイケる。

siri

 今日の昼ごはんはパンにしようと朝思ったときは、小倉駅のパン屋に寄って会社に行く。ソーセージを挟んだパンやら、ポテト明太子やら、チキンオニオンレタスやら、そんな感じの惣菜パンを買っていく。いつも二個買う。
 今朝は久しぶりにパン気分だったのでそのパン屋さんに寄ったんだけど、どうした欲張り気分だったのか、三個もパンを買ってしまった。ソーセージを薄いパン生地でくるくる巻いたパンと、ハムとチーズを挟んだトースト風のやつ、それと明太子じゃがいもチーズが中に入った丸いパン。
 これくらいは軽く食べられるだろうという気持ちでお昼どきを迎えた。だけど、ソーセージのやつ、トースト風のやつ、丸いやつという順番で食べていき、丸いやつが半月になったところで、たいそうなお腹いっぱい状態になった。
 前々から思っていたけど、惣菜パンって結構強敵である。ガツガツすぐに食べ終わってしまうけど、がっつり弁当を食べたときよりも、夕方近くまでお腹空かないし、確かカロリー的にも意外な高さだったように思う。
 定食屋やラーメン屋、それに吉野家みたいなお店で、やたらと大盛りにしたがる年齢を乗り越えてきた。でも今日は久しぶりに、あのころのような気持ちが蘇っていたようだった。パンは二個でいい。
 公園でパンを食べていると、でかい音のするでかいバイクに乗ったおねえさんがやって来た。バイクを停め、自販機で飲み物を買い、たばこを一服して一息ついているようだった。格好良いと思うにはちょっとバイクの音がでかすぎで、ヤンチャだなという思いの方が強かったんだけど、僕だって今日パンを三個も買うというヤンチャをしてしまったのだ。人のことは言えないなと思いつつ、おねえさんのジーパンの尻を眺めた。なかなかいい感じだった。

テトラポットに座って

 朝からすごい青色の空だった。一片の雲もなく。ひとひらの雲を悪しく思っているわけではないけど。全くオブジェクトの写っていない、隅から隅まで青空の写真を撮ってみたら、何かものすごいものを撮ったような気分になった。気分がよくない日にはこの写真を見れば回復しそうな気がした。たけど気分がよくない日には、この写真はただ水色に塗りつぶされた平面に見えるのだろう。
 九月下旬ごろから急に電車に人が増え、春から七月末までのあいだのように混んでいる。学生たちの夏休み終わりのタイミングでもないし、電車に乗る人の増減にどういう法則があるのかよくわからず、その点釈然としないでいる。
 今日は研修時間と社内の弁当販売の時間が重なってしまい、昼ごはんにコンビニ飯を食べた。ねぎとろ巻きと鮭のおにぎりと黄金チキン。ローソン。チキン系の食べ物はローソンがいちばんうまいと思う。会社近くの公園で食べたけど、気分がよいのか、退屈なのかよくわからなかった。悟ったようなことをすることを好むくせに、悟ったようなことをするのは案外退屈だというような気持ちも持っている。海岸沿いのテトラポットに座ってずっと海を眺めている人とか、すごいよね。

ゲスの5連休

 ちょっとやりすぎなくらい怠惰に過ごした5連休。最後に埋め合わせというわけでもないが、今日は本棚の整理をした。ここ最近は読み終わった本のほうが「積ん読」状態になってしまっていて、ざっくばらんに本が詰め込まれていた本棚をなんとかした。あと10冊くらいは本を格納できそうな感じになった。
 本を並べ替えたり埃を落としたりしつつ思ったんだけど、売ってもいいなと思える本が沢山あった。僕は時々本を売る。そのタイミングは、本棚がどうにもいっぱいになってしまったときだ。そういう時には、整理しつつ売ってもいいなと思う本をチョイスする。本棚自体を増やそうという気持ちもあるんだけど。
 今本棚に収まっている本たちは、数年前にこれはとっておかなくちゃと思った本たちなんだけど、今見ると、なぜ前回この本売らなかったのかなと思うような本がずいぶんあった。当時は何か理由があって、売りたくなかったのだろう。
 残り10冊分のスペースが埋まってしまったら、また本を選んで売ろう。僕はモノを売るのがあまり好きじゃないんだけど、本を売るという行為はなぜか好きなんだ。そこには自分が進化している感覚がある。