場違いなスローフード

 昨夜は餃子の王将で晩ごはんを食べて帰ってきた。焼きめしとニラレバ炒めの(小)。あえて言うまでもなく、ものすごくおいしい料理を出す店ではない。でも、「焼きめしとニラレバ……」とふいに思ったときに、その二つがポンと出てくる店はなかなか貴重だ。
 それにしても小倉の王将はとても店員さんたちの威勢がいい。店長らしき人も見る限り従業員さんたちに優しく、とても人柄が良さそうだ。だけど、みんな動きは遅い。遅いとまではいかないかもしれない。でもテキパキとしていない。店員の動きが遅いのは全然構わないのだけど、遅いのに威勢がいいってのはすごく違和感がある。気持ちがそわそわする。むちゃな戦争をしていないか? 国力に合っていないんじゃないか? のんびりやってくれてもいいんだよ。
 あの店はカウンター席の間隔がとてもせまい。たくさん料理を注文する人が隣同士になると、料理の皿が接触しそうなくらいだ。僕は昨日二品とスープだったし、両隣も普通の頼み方だったので、皿が接触しそうになることはなかった。
 喧騒に満ちた店内、せまいカウンター、どうしてもガツガツと食べたくなる。あの店のカウンター席で、混んでいる時間にゆったりと食事を味わうことができれば、それは人間的にどこかに到達した印だろうなどと思ったりした。場違いなスローフード。イメージは、ああいう店になぜか紛れ込んでしまったおじいさん。喧騒に構わず、ひとり餃子をじっくり食べるような。おばあさんでもいい。