人をだめにするソファ

 西の方に住んでいるので、全国のニュースが春一番で賑わっていたとき、すでに北風が吹いていた。寒冷前線が通り過ぎたあと、空には少し雪もちらついていた。今朝の話。
 最近座椅子に座っていると腰が痛くなってくるので、ビーズクッションというものを買ってみようかと企んでいる。候補はAmazonで買えるやつと、無印良品のやつと、ニトリのやつ。
 小倉駅コレット(デパート)内の無印には、該当のビーズソファーが置いてあるのだけど、通路側にでんと置いてあるので、さすがに頭をもたせかけるような試し座りはできなかった。足が通路に飛び出す。
 どれもそんなに変わらないだろう、なんでもいいやという気持ちが強いので、今夜にでもAmazonでぽちってしまいそうだ。だったけど、風呂上りに気が変わった。何しろデカい買い物だ(物理的に)。使えないととてつもなく邪魔になる。
 それにしても、最近は何から何まで通販で済ませようという気持ちが働く。通販、便利。とても、便利。メンチカツ、おいしい。

思い出す道

 久しぶりにわりと長距離クルマを動かした。と言っても往復で一時間くらい。それくらい最近はクルマを運転していない。近所に買い出しに行くときくらい。
 行き先はTSUTAYA。レンタルするためのカードの更新期限だったので、更新するために行った。ちなみに前回TSUTAYAに行ったのは、だいたい1年前のこの時期だ。つまり、前回もカードの更新のために行った。
 更新手数料は無料、家に届いた更新期限をお知らせするダイレクトメールを持っていくと、CDでもブルーレイでも1枚無料でレンタルできる。迷ったが、結局何もレンタルせずに帰った。確か去年は何か映画をレンタルし、それを楽しく観たものの、返しに行くのが億劫で仕方なかった記憶がある。じゃあもうカード更新するなよって話だけど、全くもってその通りだ。あなたは正しい。
 TSUTAYAの近くにはケンタッキーがあって、久しぶりに食べようと思い2ピースのセットを買った。家に帰って食べた。おいしかった。帰りは大通りの道を通らず、前の会社でクルマ通勤をしているときに使っていた細めの(でも快適な)道で帰ってきた。懐かしい道だった。僕は道で、何かを思い出す。

やくも

「わりと暖かめ」予想の日。久しぶりに「いいか」と思って、マフラーなしで出勤する。朝、確かに気温はわりと暖かめだったように感じた。だけど北風が強く、マフラーをしてくればよかったと後悔。しばらく感じていた首元にまつわる暖かいエトセトラのない頼りなさ。
 ゲームに夢中なここ2ヶ月だった。最近ようやく本を読むことに気が向き始めているけど、2ヶ月ほど前から読んでいた本、思い切って読むのをやめて、新しい本を読み始めた。読むのが苦しい本だったのだ。読み始めた本を投げ出すことは滅多にない。なんとなく負けてしまった気がするけど、これからは合わないと感じた本はがんばって読みきったりしなくてもいいかなと考えている。もう本に関しては、好き嫌いを全開にしてもいいだろう。100%娯楽に徹してもいいころだ。
 新しく読み始めた本は、古きよき日本に感動しすぎて筆が震えているかのような印象を受ける本。もともとは外国人が書いた本で、とてもよい。

今年もまた

 会社の喫煙室からは海が見える。まことにこ汚い小さな港ではあるけど、言葉をあてるならオーシャンビューだ。
 僕は一日の仕事が終わると、その喫煙室でタバコを一服してから帰る。毎日の習慣だ。今日も18時ごろに喫煙室に向かい、タバコを一本吸った。
 日が長くなっていた。ちょっと前まで、その時間喫煙室から眺める海は真っ黒だったのに、今日は少し灰色がかった昼だった。
 今年もまた、日が長くなっていく。

あけましておめでとうございます。

 毎年毎年、僕は年末(12/26〜31)の空気感にものすごく心を浄化されるんだけど、昨年末はそうでもなかった。ああ今年も終わるんですね、というくらいで。毎年30日あたりに日本海を見に行ったり、31日の夕刻からクルマを出して山道から最後日の入りを見たりしたもので、そうすることで何か不思議な作用が自分に働くような気がして、そうしなければいけないというくらいまで思っていたもんだけど、今回はずっと家。家、家、家。ゲームをしていた。
 ここ十年、自分の中からどんどんと茫漠としたものが失われていっているような気がする。それは草原に故郷を思ったり、美しすぎる夜空に恐怖心を抱いたり、吐く息の白さや寄せてくる風の気配に明日を予想するようなこと。不思議なことを感じたり、ささいなことに気がついたりする力。そのかわりに手に入れていっているのは、現実的な人生の諸々。
 どちらのほうがいい、というようなことは特に考えたりしない。ただ、昔はずいぶん不思議なことを思えていたのだなというような、うらやましい気持ちはある。流星が落ちた日に大好きなおばあさんが消えて、再び落ちる日におじいさんはおばあさんと再会できるんだ、そのおじいさんと出会う少女、ドアをノックして帰ってくる誰か。
 今夜は新年初のカレーライスを食べた。明日は初ラーメンを食べて帰ろう。

背徳缶

 久しぶりにクルマで小倉に行った。土日祝が休みになってからは、どうにも休日にクルマを出すのが億劫だ。混んでいる道を走りたくないということなんだけど、実際土日祝だからってそんなに道が混んでいるわけではない。観光地でもない限り。なんとなくの、思い込み。
 途中、品揃えが気に入っている酒屋に寄って焼酎を買った。米焼酎のでかい瓶。「この米焼酎、でかい瓶のやつはないよ」と親父は言っていたけど、あるじゃないか。ついでにオールフリーを買って、飲みながらクルマを運転した。
 オールフリーはビールテイストのノンアルコール飲料だけど、飲みながらクルマを運転していると、相変わらず妙な背徳感がある。背徳缶だ。特に信号待ちでぐびりとやっていると、隣のクルマの人が見たらどう思うかなと気になる。
 小倉駅北口の駐車場にクルマを止めて、南口まで歩く。今日の目的は靴。それ以外の買い物は特になかったけど、本屋→無印→ロフトというお決まりの冷やかしコースを進んだ。昼ご飯はハンバーグのようなものを食べたいと思っていたけど、朝起きてすぐ食べた卵かけご飯が案外お腹に残ってい、未知のハンバーグ屋に、五郎さんのように入っていくほどの気力はなかった。というわけでロッテリア絶品チーズバーガーとやらのポテトMセットで済ます。ロッテリア、たぶん全然人気ないと思うけど僕は結構好きです。味付けが塩コショウメインな感じが。モスのソースはなぜあんなに強いのか。
 特に無駄な買い物もせず、ハンバーガーを食べ、駅ビルのABCマートへ向かう。靴を買うのは数年ぶり。ニューバランスの996を。スニーカーは断固たるコンバース派でこれまで来たんだけど、三ヶ月くらい前に急に「ニューバランスいいかも」と思ってしまい、その思いを今日果たした。十年前の僕が知ればびっくりするような思いだけど、ニューバランスなかなかいいです。あの頃の僕はとんがっていたんだ。
 外はまた、しとしとと雨が降っている。

シャンプーの話

 先日シャンプーがなくなったので、会社帰りに小倉駅ビル内のドラッグストアで新しいものを買った。ちなみになくなってしまったその日の夜は、容器の中に水を少量入れ、じゃぶじゃぶした泡を頭に振りかけて洗った。
 シャンプーを買うときにいつも困るのは、両極端なものしかないことだ。超男物と超女物。薬機法ぎりぎりのところで何とか「髪の毛が増える」ニュアンスを出したい超男物と、つやつやさらさら栄養補給綺麗な髪へといった感じの超女物だ。僕はどちらも欲しくない。汚れの落ちる髪用のしゃぼんでさえあればいいのだ。実際は医薬品、医薬部外品でない以上、どちらも単なる汚れの落ちる髪用のしゃぼんでしかないのだけど。
 トニック類も含めて育毛プロモーションだらけの男物売り場でシャンプーを物色していると、単純に髪の毛のことを気にしている人みたいになっていやだ。今のところまだ気にしていない。いや、正確には、元々でこが広めなこともあって、二十代のころは気にしていた。でも結局僕はハゲなかった(今のところ)。
 かと言って女物の棚に行けば、「このおじさん髪の毛を綺麗にしたいのかしら?」みたいな感じになる。別に綺麗にしたくない。
 何をこじつけめいたきめ細やかなこと言ってんだと思われるかもしれないが、もしあなたたちが僕に会い、「シャンプー何使ってるんですか?」と聞く機会が今後あったとして、僕が「サクセスです」と言えば「あー」と思うでしょう? もし「TSUBAKIです」と答えれば「えー」と思うでしょう? そういうこと。