あけましておめでとうございます。

 毎年毎年、僕は年末(12/26〜31)の空気感にものすごく心を浄化されるんだけど、昨年末はそうでもなかった。ああ今年も終わるんですね、というくらいで。毎年30日あたりに日本海を見に行ったり、31日の夕刻からクルマを出して山道から最後日の入りを見たりしたもので、そうすることで何か不思議な作用が自分に働くような気がして、そうしなければいけないというくらいまで思っていたもんだけど、今回はずっと家。家、家、家。ゲームをしていた。
 ここ十年、自分の中からどんどんと茫漠としたものが失われていっているような気がする。それは草原に故郷を思ったり、美しすぎる夜空に恐怖心を抱いたり、吐く息の白さや寄せてくる風の気配に明日を予想するようなこと。不思議なことを感じたり、ささいなことに気がついたりする力。そのかわりに手に入れていっているのは、現実的な人生の諸々。
 どちらのほうがいい、というようなことは特に考えたりしない。ただ、昔はずいぶん不思議なことを思えていたのだなというような、うらやましい気持ちはある。流星が落ちた日に大好きなおばあさんが消えて、再び落ちる日におじいさんはおばあさんと再会できるんだ、そのおじいさんと出会う少女、ドアをノックして帰ってくる誰か。
 今夜は新年初のカレーライスを食べた。明日は初ラーメンを食べて帰ろう。