チャーハン考

 先日テレビで、「科学的なおいしいチャーハンの作り方」をやっていた。なんと弱火で炒めていくというもので、目からウロコだった。だが、実際にやってみるとおいしくできなかった。作り方のコツを掴んでいないというよりは、そもそもこの作り方じゃだめだろうと思った。長年、家庭用コンロで作るチャーハンの限界に挑んできた、僕の勘。
 ただ、その番組で言っていた、「世間で言う家庭用コンロでできるパラパラチャーハンってのは、実はパサパサチャーハン」ってのには同意であった。家庭用のコンロでもパラパラチャーハンは簡単にできる。ただ、その手の工夫で作られたチャーハンはほんとにパラパラしているだけで、風味もないし、しっとりともしていない。
 僕が作りたいのはパラパラしているうえにしっとりしていて、卵の風味があるチャーハンだ。色々と試行錯誤を重ねた結果、去年あたりに、家庭用コンロでそれらを完全に成し遂げることは不可能であるとの結論に至った。
 以降、パラパラ、しっとり、風味が全て及第点に収まるような作り方を考え、要は全てが中途半端な感じなんだけど、その作り方をするようになってからは、自分は「おいしいやきめしを作るのだ」と思うようになった。
 ところで先日の「科学的なおいしいチャーハンの作り方」は、そもそも弱火で炒めるという点において、チャーハン作りの楽しさがない。じっくり弱火で米を炒めるということが、ころほどつまらないことなのかと思い知った。やはりチャーハン作りは、強火でないと楽しくない。
 ただ、その弱火チャーハンには、それを成立させるための2点の工夫が施されていて、僕はそれが気になっていた。だから今日、その2点の工夫を取り入れつつ、強火でチャーハンを作ってみた。食べてみた感想は、うむ、悪くない。パラパラが及第点に達しなかったが、家庭用コンロでは一番難しい「べっちょりではないしっとり感」がある程度あり、風味もあった。工夫すれば、パラパラ、しっとり、風味の及第点が、今よりもずっと上がったやきめしが作れそうだ。
 というようなことを書いていると、チャーハンを作りたくなってくるが、もう23時だ。さすがにこの時間にジャージャーやるわけにはいかない。業務用コンロの夢でも見よう。