休日の朝は親父に起こされた。「いつまで寝てるんだ! このぐうたら息子め!」ではなく、「起きてる? なんかテレビが映らないんだけど……」と言われて起こされた。テレビが大好きな親父である。
 しゃがれた声で「あいあい」と応え居間に行くと(起きてすぐ動けるタイプ)、このあいだ買ったばかりの液晶大画面テレビ(プラズマテレビ?)が確かに映っていなかった。このタイプのテレビは下のチューナーと上の画面で電源が分かれている、と思う。見れば下のチューナーには電源が入っていたので、上の画面のほうのジャックをいじってみる。実に初歩的ないじりかただったが、なんとそれで画面の電源が入った。つまり、接触が悪かった。たぶん初期不良だろう。それか仕様。さらに、テレビの裏をよく観てみると、アース線もちゃんと繋がれていないことが判明。
 少し前に居間のブラウン管テレビが壊れたとき、液晶テレビを買うことになった。僕は大きな電気屋、例えばベスト電器とかそういうところで買うことを薦めた。サービスは案外しっかりしているし、何より安い。しかし親父たちは「昔からの付き合いだから」ということで、近所の小さな、昔ながらの小さな電気屋さんでこのテレビを買った。たぶん今の時代にほとんど値引きなしで。
 ほとんど定価、いきなり接触不良、アースも繋いでいない。しかしそれでも、年寄りたちは大規模電気店のことを血の通っていないイメージで見ている。そして近所の小さな電気屋さんを誠実さの塊だと思っているのである。