夏は終わったと言う

 暑くて、夏が逆戻り。
 昼飯に辛めのねぎ味噌ラーメンを食べた。他の地方に住んでいる人には想像しにくいことかもしれないが、福岡のラーメン屋で味噌ラーメンを食べることは案外むずかしい。つまり、味噌ラーメンを食わせるラーメン屋は滅多にない。
 幸いにも僕は、それなりの味噌ラーメンを食わせる店と醤油ラーメンを食わせる店を知っている。どれかひとつを選べと言われれば一生とんこつラーメンを食べるが、時には味噌や醤油や塩もいいものだ。
 冒頭に書いた通り今日は暑かった。そして基本的には“気の利かない”その店は冷房を入れてなかった。客がどう感じているかを敏感に察知する感性や、実際肌で感じる現実より、十月という観念のほうがまさってしまうタイプの店主である。
 そんな店で辛い味噌ラーメンを食ったのだから、汗がだらだらと出た。昔は汗をだらだら流してラーメン食ってるやつなんてみっともないと思っていた。いや、今でも結構そう思っている。でも今日のように田舎町のラーメン屋でぽつんとひとり、なんて状態だと、いくらでも汗をかけばいいさと思った。辛いもの食べて汗だくだくは気持ちいいよねーなどと言う人の気持ちが少しはわかった。
 十月最初のウィークデイということで、クールビズは終わったらしい。そして学生たちも、冬服を“持って”いた。どんなに暑くても、あと一週間くらい暑くても、十月だから夏は終わったのだった。