ゴミ出しにまつわるエトセトラ

 夜になって、ためこんでいた酒のビンを近所のごみ収集の箱のなかに投入。明日は月に一度のビンごみの日。
 しかし今考えてみると、昔はずいぶんと気楽にごみ出ししていたものですね。分別ごみが徹底されてきたのって、ここ十年くらいの話でしょうか。そう思って思い返してみるんだけど、不思議なことに、僕は一人暮らしの大学時代にごみを捨てていた記憶がない。なぜなんだろう。当たり前の話だけど、実際はちゃんと捨てていたはずだ。近ごろ流行りのゴミを溜める人ではなかったのだから。じゃあきっと、その時々で僕の部屋にいた女の子たちがいつもゴミを…… というのはほとんど冗談で、たぶんゴミ出しという作業は、すごく機械的な作業なんだろうと思う。機械的というか、例えば呼吸のように無意識でやってしまうものなんじゃないか。今ほど細かくはなかったかもしれないけれど、ちゃんと分別してゴミを出していたはずだ。
 そう考えると、今の僕のゴミ出しも、将来「あのときゴミなんて出してたっけ?」となる可能性がある。いやいや実家住まいなのだから「あのころ実家住んでたんだからゴミなんか出さなかったよ」とまで思うかもしれない。
 そうならないために、しっかりと覚えているために、僕はいつも酒のビンを数か月分も溜めこんでいるのです。ゴミ袋にがっつり入った酒のビンを、「できれば親に見られないほうがいいよな、見られても別にいいけど」と思いながら夜中のうちにゴミ出し所に出す。僕はこの日を忘れない。