ランチは夢のなかに

 朝会社に出かけるとき、玄関で良い革の靴たちをおそるおそるチェックしたところ、やはり薄っすらとカビが浮いていた。この季節になると、必ずカビの生える靴が出てくる。雨の日には履かないって決めている靴があるから。
 昨年転職して、それまでに比べるとずいぶん街中のオフィスになったから、一年間色々なお店に昼食を食べに行った。ときには駅弁を買った。小倉駅ホールに出店しているB級グルメの食べ物を買って、公園で食べたりもしてきた。最近では、近くにできたばかりの佐世保バーガーを買い、四苦八苦して食べた(物理的に)。
 以前の会社が、まわりにコンビニしかないような立地だったから、何となくランチに重点を置いた一年間だった。でも、元々僕は昼にあまりガツガツとものを食べる人間ではなかった。おにぎり一個とサンドイッチくらいでよかった。昼飯を抜いていた時期もあった。少なくとも、井之頭五郎さんのようにランチに命をかけている人間ではなかった。最近そのことを、思い出しかけている。