一緒

 死んでいく人たちがいて、まだ生き続ける人たちがいる。幸いなことに、僕は恐らく、まだまだ生き続ける。生きて行く僕は、他のいろんな生きている人たちのことを見つけることができる。生きている人たちは、色々なことを考えている。その色々なことたちは、ときに刺々しく、ときに雄弁で、ときに悲しく、ときにあたたかいけれど、案外ささやかなものだ。生き続けているのに。今夜もとてもささやかで、でも僕たちがともに生きていることを実感できる考えに出会った。
 僕たちは生きている限り、いつまでも他の人たちを味わうことができる。人は死ぬ。誰かが死んでしまっても、他の僕たちは生きている。ささやかなものを味わいながら、分かち合いながら生きていく。とてもあたたかい。あたたかいものがある。どこかに行く人に言いたい。僕はあたたかいものを見つめている。でもそれはとてもささやかなものだ。どこにも行かない僕たちが味わえるものも、うまくいってあと数十年、とてもささやかなものだ。ささやかすぎて、どこかに行く人と、違いなんて、ほとんどない。もうちょっと長く、ささやかなものを味わうだけだ。本当にちょっとだけの違いだ。違いはほとんどない。
 違わないことだから。僕たちとあなたたちとは。