コードバン

「今日は終日ほんとに晴れだよ」とでも言いたげな天気予報だったけど、朝、見上げた先にある空模様は怪しかった。僕は雨に濡らすのがわりと厳禁な(変な日本語)靴を持っていて、ほんとに晴れだよ、って日にしか履かない。天気予報的には履ける日だったけど、体感を信じて違う靴で出勤。駅までの道のり、霧のようなかすかな雨が降ったように思う。それくらいあいまいな雨だった。
 今年は電車のなかでも駅のホームでも、あまりフレッシュな人を見かけないような気がする。フレッシュな人たちは、もうちょっと早い時間に出勤通学しているのかな? 僕が去年からわりと遅めの電車に変わったから。ということは、五月のゴールデンウイーク明けあたりに、要領を覚えた四月にフレッシュだった人たちを、いくらか電車で見かけるようになるのかもしれない。
 喫煙室で、実は若白髪を染めている30歳くらいの男性を、もうひとりの30歳くらいの男性が「たいへんだね、若いのにね」というふうに慰めていた。白髪生えまくりでそのままの僕は、妙な空気のなかに包まれて、ただただ困惑していた。