哺乳類のくせに

 先日小倉に行ったとき、リバーウオーク(という名の複合商業施設)の噴水広場で、プチ動物園のような催しがされていた。犬やら猫やらラクダやらでかい鳥などいたのだが、ヘビもいた。広場は一階で、遠く二階から「うへえ」という気分で見ていたのでよくわからないが、水槽のなかに何匹かヘビが入ってい、恐らく「ご自由にどうぞ」ということだったと思う。
 驚くことに、本当にご自由にしているご家族がいた。若いお父さんお母さんと、小さな子供三人。お母さんが実にご自由に水槽から好みのヘビを取り出し、自分の首に巻いてみたり、子供の首に巻いてみたり、時々落っことして慌てて拾ったり。そんな様子をお父さんがカメラで撮っていた。あなたたちは哺乳類失格だ。世の中にはすごい哺乳類がいるもんだ。
 ものすごく遠くから見ていたので確かなことはわからないが、ヘビさんは実におとなしくご自由にされていた。ふと、いったいヘビさんはどういう気持なのだろうと思った。ヘビさんはされるがままで、なんだか別にどうでもいいやと思っているように見えた。そして僕も、別にどうでもよかった。