パンを愛でよ

 以前はちょっとした腹ごなしにはいいかもしれんね、というくらいにしか考えていなかった「惣菜パン」に対する執着が、最近増している。
 パン屋さんのパン。でかいスーパーに併設されたパンコーナー。いずれもそこで焼いたパンが並んでいる。トーストにベーコンエッグをめり込ませたもの。玉ねぎやら薄切りハムを山ほど挟んだもの。カレーやチーズをてんこ盛にしたもの。これは悪ふざけなのでは? と思うようなものまである。なんだか惣菜パンというものは、やりたい放題のおもちゃのような感じがする。
 そういえば、会社の帰り道、かなり家が近くなったところに、妙なコンビニがある。一般的なコンビニとして考えると妙なだけで、あの系列のコンビニでは以前からそれが当たり前なのかもしれないが、関東に住んでいたときは見たことないコンビニだ。
 休日前の夜には、僕は会社帰り、気の向くままどこかのお店に行って晩ごはんを食べて帰ることが多い。でも、このあいだの夜は、定休日の嵐に見舞われた。まず最初に食べたいと思ったカツ丼の店、定休日。それならばと向かった味噌ラーメンがまあまあの店、定休日。
 明かりのついてないラーメン屋を通り越したところで、もう家にはかなり近づいていた。これからどこか食べ物屋へとなると、引き返すか、家を通り過ぎるしかない。いっそ家で焼き飯でも作るか。
 そんなことを考えていたときに目に飛び込んできたのが、例の妙なコンビニだった。そのコンビニは、店内で色々な惣菜パンを焼いている。
 僕はパンコーナーに行き、ホットドッグと、ベーコンエッグがめり込んだトースト、あと、ホットコーナーにあったハッシュドポテトを買った。
 休日前の晩ごはんがコンビニで買ったパンって見すぼらしいなあとは思ったんだけど、家に帰ってビールを飲みながらハッシュドポテトをかじり、ホットドッグを頬張り、少し時間を置いて食べるベーコンエッグトーストはとてもおいしかった。
 まあ晩ごはんには向かないけど、今後はもっとパンに愛を持とう。