ホームセンター

 何に使うのか、父が長さ百八十センチ、幅九センチの板を四本買うというので、昨日は父とクルマでホームセンターに行った。父は首尾よくそのような板を見つけ、レジのところに板を置き、「ちょっとペンキも見てくるから」とホームセンターの奥に消えていった。だから僕もホームセンター内をうろうろした。
 たまに行くと、ホームセンターというところはわりと面白い。本当に色々なものが置いてある。僕はしばらくカー用品のところをうろうろしたあと文房具のところへ行った。ペンやノートなどをなんとなく物色する。
 上のほうに紙をとめる留め金のようなものがついている、あれはなんて言うんだろう? バインダーじゃないし、僕が子供のころに、学校の先生が出席を取るときに使っていたような“アレ”を探してみたけどなかった。なんでそんなものがちょっと欲しかったのかは、一日経った今日わからないのだけど、昨日は欲しい気がしたのだ。アレに紙を挟んで、何か書きたい、と。
 そのあとまたセンター内をうろうろして、アクアリウムのコーナーに捕まった。アクアリウムとは水槽のなかに観賞用の魚や石、水草を配置して楽しむものだ。金魚や熱帯魚、メダカ用の道具があり、水槽をメインにセットになっている道具がたくさんあった。案外お安い。アクアリウムには前々から興味があるんだけど、やるとしたらメダカあたりから始めるのがいいのかもしれない。
 ホームセンター内には、犬の餌を選ぶ中二くらいの男子二人組もいた。何か年齢や見た目にふさわしくないおかしかなことを言っていた気がするけど、忘れてしまった。インコの餌を真剣に選ぶおばちゃんもいた。きっとご主人のための食材選びよりも真剣なんだろうなと思ったりした。
 広大な敷地をしばらくうろうろとしていると再び父と出会った。彼は「ペンキも選んだから行くよ」と僕に声をかけた。だけどレジに向かう途中で、石でも成形できる何らかのマシーンに一分ほど引っかかった。ホームセンターというところは、ひとりひとりの人間の心の奥底にある基本的な嗜好というものがあらわになる場所なのかもしれない。
 その後お駄賃として、父行きつけの酒屋でちょっとお高めのバーボンを買ってもらった(自分で千円追加したけど)。今それを飲みながらこれを書いている。