あけましておめでとうございます

 なにがおめでたいというのだ? と思いつつ、やはりリアルでもウェブでもこう言う。絶対に年明けにおめでとうと言わないという態度もアリだけど、なんとなく言ってしまうのは、やはりなにか、おめでたい気持ちがあるんだろう。
 だけど僕が本当におめでたく思っているのは年末で、それもごく一時期、12月24日、25日のクリスマスが終わって、26日から31日までの期間だ。おめでたく思っているというのはちょっと違うか。なんだろう、あの期間の静かな感じ、満ち足りた感じ、落ち着いた感じ、遠くを見やって目を細めたくなるような荒涼とした感じ、ちょっと郷愁まで伴っている感じ、何か許される感じ。あの期間のみんなの心持ちって、一番日本人らしい心持ちになっているような気がする。
 年が明けると、残念ながらその気持ちは終わりだ。リセット。新しい年に華やいだ気持ちになったり、目標を立てたりする人たちもいるようだけど、僕が年明けにいつも思うのは、今年の年末は、去年の年末より満ち足りた気分で荒涼感に浸れるようにがんばろうということだ。あら、案外前向き。
 年末のある一日には、お気に入りの海辺までクルマで行って、クルマのなかから荒れた日本海を眺めながら、今年一年の日記を読み返したり、気づきメモみたいなものを読み返したりした。このジプシープシーという日記ではなく、普通の日記のやつ。なんとまあ繰り返し繰り返し同じことを思っているんだろうと思った。自覚はあったけど。
 そのときそのときの思いなんてのは、そのときは鮮烈であったとしても、あとになって考えてみたら結局チンケなものだ。かえってその日食べたものだけ書いてある日や、その日やったことだけ書いてある日のほうが、ありありとそのときの思いを思い出せたりする。何はともあれ、今年も気ままに、気軽く、ほわんとやっていこう。もう幾つ寝ると、お正月なんだ?