甘い世界

 僕はプロ野球選手じゃないしなろうと思ったこともない。だけどなぜかたまに、内野手として1点を争うゲームに出場し、エラーをしたときに、投手に対してどういうふうに接しようと考えることがある。言葉を発するならどういう言葉だろう、と。よく知らないけど、プロ野球を見ている限り、エラーをした人は投手に謝ったりしない、頭を下げたりしないというのがプロのやり方というかお約束のようだ。
 でも僕は謝りたいと思うし、プロの人たちもほんとは謝りたいんだろう。「こんな場面で、ほんとすまん」と。それをしないことがお約束とされているなら、野手は常に最善の能力を発揮しているという前提があるのだろうし、投手には野手のどのようなプレイにも動じない強さが求められている。きつい世界だ。
 でも、「やっちゃった。ほんとすまん。なんとかここを乗り切って、俺を気分的に助けてくれ」みたいな野手がいてもいい。俺を気分的に助けてくれ、ってとこがポイント。