新楽器

 我が家に久しぶりに鍵盤楽器がやってきました。親戚がいらなくなったキーボードを親父のために持ってきてくれた。というか親父がいつの間にか鍵盤に興味を持ち、なんだか高齢者を対象としたピアノ教室(?)のようなものにちょこちょこ通っていたことに驚く。元々はジャズベースの人だけど、指で弾くアコギやクラシックギターは、ほぼギター一辺倒な僕をもう超えたし(僕が帰福した十年ちょい前は超へたくそだった)、このうえ鍵盤にまで手を出すのか。僕も小学生のときにピアノを習っていたので、なんとか、どうにか、鍵盤は弾けなくもない。親父も今それくらいのレベル。最近Macで歌を録音することを覚えたし、このあいだベースも買ったし、今後はキーボードの音を録音することも検討しよう。
 それにしても家に鍵盤楽器が存在するのは久しぶりのことだ。私たちは弦楽器一辺倒の父子だけど、お爺はアコーディオンからオルガン、マンドリンまで幅広く弾く人で、メインは鍵盤だった。気ままに洋服を作って生計を立てた人だったが、引退してからはアコーディオンを持って、全国各地を定期的に旅していた。色んな場所で、わりと押し付けがましくアコーディオンを弾いていた。「観光地でアコーディオンをうるさく弾くおじいさんを、昔見たことありませんか?」という質問を全国に投げかければ、わりと「あるよ」って返事があるかもしれない。
 お爺が生きていたころは、家にオルガンがあった。アコーディオンは形見として親戚の誰かが持って行ったけど、あのオルガンはどこにいったのかな。僕も子供の頃よく弾いたよ。こんな上品な音は好きじゃないなと思って、すぐギターに変わったけど。