しょーこり

 ハムカツが結構好きなんだよね。と言いつつほとんど食べたことがない。だから憧れと言ってもいい。数年前かかわりのあった、とても綺麗だったけど、とても厳しい育ちかたをしたある女の子は、「わたしはハムカツ嫌い! なにあの偽物感! だめなんよねーああいうの」と憤慨していたけど、その気持ちはわかった。でも僕はそこに憧れを感じる人生を歩んできて、彼女は憤りを感じる人生だったということだろう。自分の力で生きる今となっては、どちらがいいとも言えない、だろう。
 そういう“境遇”的なことはともかくとして、自分は若いころからつい数年前まで、ずいぶんと運良く生きてきた男だなと思っていた。そして、ここ数年はちょっとついてないな、と思っていたりした。でも、つい先日唐突に思いあたったんだけど、自分は若いころから、ずいぶんと運のない男だったんじゃないかなと。要はなぜか、ここ最近急に、自信を持っちゃったわけです。なぜか。なぜかなぜか。
 もう運なんていらないぜ、って言うのはちょっと恐いので、普通でいい。普通の感じにしてください。それでやるので。というふうな考えで過ごしていると、案外運が向くんじゃないとか、しょーこりもなく。