本日の飲み食い

 昼ごはんには、たぶん一年ぶりくらいにざる蕎麦を食べた。夏になると思い出す、はるかな尾瀬、遠い蕎麦。濃い目のつゆで、わさびもたっぷり、刻みネギもたっぷりで、ちょっとゲスいな、という雰囲気で食べた。ゲスいのがうまい、ということもあるのだ。お上品に勝る。
 そう言えば笑い話だったか、生粋の江戸っ子が臨終の間際に、「一度でいいから、つゆにたっぷりと蕎麦をつけて食いたかった」というのがあるらしいが、池波正太郎さんによるとこれはおかしな話で、本来の江戸の蕎麦は、たっぷりとつゆにひたしたりするととてもじゃないけどしょっぱくて食えないくらい、つゆの味が濃かったとのこと。今日はそんなイメージで、二倍に薄めて食するべきつゆを、ちょっとしか薄めずに食べた次第。蕎麦の先端をちょっとだけつゆに浸して、しょっぱいねえゲスいねえ江戸っ子だねい、なんて思いながら。夜はステーキとガーリックライス。夜のお酒は冷凍庫で冷やしていたジンを生のままで。