発すれば風雨の如し

 暑い夏が来ると、クルマのエアコンが気持ちよかったりするんだ。それほど暑くない日の会社帰りには、エアコンを切って、窓を全開にして帰ったりするんだ。そういうときに聴く音楽は「はっぴいえんど」や、真夏のピークが去っていなくても、なんとなく「フジファブリック」がいいんだ。
 なにも聴かず、ロードノイズに耳を澄ませるのもいい。ガソリンスタンドにクルマを止めて、給油中にエンジンを切って、途端に暑くなったりするのもいいんだ。台風恐怖症だし、ヘビも嫌いだけど、素敵な女の子も薄着になる。薄着のほうが好きなのかと問われると、そうでもないけど、まあ気分として女の子が薄着になる、って言葉はいいんじゃない?
 今年の夏はどうなるのか。梅雨入りは早かったのに、天気図的にいまいち梅雨になりきれていなかったりして、まずは明けるのがいつになるのか。遅そうだ。夏は総じて好きではないけど、あってもいい。どうせなら、暑いほうがいい。
 いつからこんなに、人や世界に期待しなくなったんだろう。人や一夜、一夜人や、人や一夜。期待なんかすると、どうせあのときのように、ひどくがっかりさせられるんだ、って。経験を活かしているつもりが、恐がるほうがメインになっていただなんて、ずいぶんおもしろくないことだ。おもしろくないことだ。気づけてよかった。