アレはアレでソレはソレ

 前回タバコの値上げがあった際は、値上げ前に買いだめをする人がずいぶんと多くて、僕もたしか五カートンくらい買った。一カートンは十個だから、五十個。たしか十月の終わりくらいに買いだめをして、一日一箱弱として、「これで今年はもうタバコは買わなくていいはずだ」と思った。実際に年末まで足りたのかは覚えていない。
 この春も、恐らく消費税アップの影響で、タバコの値上げが行われたわけだけど、不思議と買い溜めという話は聞かない。僕も値上げ前に買い溜めはしていないんだけど、なぜか値上げ後というタイミングで、滅多にやらないタバコのカートン買いをした。ショートホープを一カートンと、マルボロを一カートン。タバコを大量に買って、在庫を意識しつつちょっと大事に(少なめに)吸ってみようと、なんとなく思ったのだ。
 タバコを丸っ切り止めてしまうつもりは、今のところない。ショートホープマルボロのようなシガレットは、どうかしたら止めてしまう決断もあると思うけど、家では夜キセルを吹かしていて、これをやめるつもりはさらさらない。ただ理想として、「習慣的ではない吸い方のタバコ」というのが、最近念頭にある。
 それにしても、僕が勤めている会社の喫煙室には、数年前まで、それはそれは楽しい人たちばかりが集まっていた。本気で、「タバコ吸う人って、やっぱ楽しくて機智に富んだ人が多いんだな」と、当時思ってしまったくらいだ。そのころ、タバコを吸わない人たちも、「喫煙室って楽しそうね〜」とよく言っていた。
 ところが、その面白い人たちが、異動になったり、会社を辞めたりして、ことごとく喫煙室からいなくなってしまった。今は、喫煙室の外の、タバコを吸わない人たちのほうが楽しそうだ。相対的に、だけど。ここだけの話だけど、今喫煙室にいる人たちは、なんともクセが強いというか、正直言って「うわっ……」って人が多い。この期に及んでタバコを習慣的に吸う人って、やっぱりちょっとアレなんかなあと思う昨今なのだ。僕もアレな人のうちのひとりになってしまっているんだけど。