春到来

 今年も若筍の刺身を食べることができた。えぐみを取るためにどのようなことがされているかは知らないけど、とにかく素茹でで、味付けがされていない小さな筍を薄くスライスし、わさび醤油で食べる。うまい。筍は小さいときにはえぐみが少ないとされているけど、それでも少しえぐみはある。それもまた良い。親父なんかはそのえぐみが苦手で、でっかくなった筍の、根元のほうの固い部分が好きなんだそうである。ガリガリ食べたいと。僕は若いころの穂先の部分の、柔らかくちょっとえぐいのが好き。全く逆。
 若筍の刺身を食べると、ようやく春が来たなと実感できる。桜もいいけど、あれは春の到来というよりも、冬の終わりを感じさせるものだ。僕の中では。