夢は金持ち

　宝くじをちょくちょく買う。
　あれは、高額当選する人も滅多にいないんだけど、十枚以上買えば、全部ハズレって人も恐らくいない。必ず一番下の等が一枚当たるから。ご多分にもれず僕も、いつも高額当選なし、全てスカでもなしの小額当選ハンターなんだけど、この小額当選の換金ってのが、微妙に恥ずかしい。
　二百円が二枚当たって四百円とか、そんな当たりクジを二枚だけ持って売り場に行き、「当たったから換金して！」なんてねえ。だからいつも、はずれクジを含めて買った宝くじを全部持って行って、「これ見てもらえますかー」なんて、すかした顔で売り場のおば、お姉さんに言うのだ。まあ、当選見落としを防止する意味もあるんだけど。
　でも今回のサマージャンボと2000万サマーは、一万円の当たりが一枚と、五千円の当たりが一枚あり、三百円当選も合わせると、全部で一万六千二百円というまあまあの当たりだった。だから、宝くじ売り場のおば、お姉さんは機械で宝くじの束を調べたあと、「わあ、よかったですね！　全部で一万六千二百円当たってます！」と言ってくれた。でもそんなことこっちは百も承知なわけで、「ああ、そう」って応対をしてしまい、なんだか感じ悪かったなと今も反省している。これから一万円以上当たったときは、「当たってるから交換して！　他のも念のため調べて！」という感じにしようか。
　まあ、一番の理想は、二百円しか当たってないや、なんて思いつつ「これ調べてもらえますかー」って渡して、おば、お姉さんは機械で調べたあと、一瞬緊迫した表情を浮かべ、周りに聞こえないよう小さな声でこう言うのです。
「お客様、この売り場では渡せない額が当たっています」