「思うんだけど、ねむみはヒトの体のなかに住んでいるね」
「ねむみって、眠くなる成分、みたいな意味なの?」
「(それには応えず)ねむみが寝ているとき、私たちは眠くなく、ねむみが起きているとき、わたしたちは眠い」
「ね、むみ? は、眠くなるための何らかの活動をしてるってこと?」
「(それには応えず)今日も仕事中、肩甲骨の奥あたりにズゥーンとねむみがいて、ひたすら目の奥に向けて、ねむビームを撃ってきて困ったよ」
「ねむビーム……。でも、その“ズゥーン”ってのはよくわかるよ! ほんとそんな感じだよね!」
「(それには応えず)たまに、ひたすら眠い時間が続いたのに、ほんの一瞬ガクンッて落ちただけで、とても鮮やかに覚醒することがあるだろう?」
「あるある! よくあるよ!」
「(同意してくれたのに)滅多にないけど。ああいうときって、ほんの一瞬の睡眠で、ねむみだけを寝かせることに成功しているんだよ」
「もう、泣いちゃいそう……」
「さあこのウニお食べ」