地図

 先日「JAF」から送られてきたフリーペーパーに、「JAFツーリングマップ」という九州の地図がついてきていた。広げると縦八十センチ、横五十センチくらいの、九州の主要道路地図で、JAFさんとしては「これをクルマの中に忍ばせておけば!?」という感じだと思う。だけどすでに僕のクルマの中には、分厚い九州道路地図が忍ばせてあり、これは要らない。フリーペーパーの類いは、いつもざっと目を通したあとすぐ古新聞とまとめてしまうんだけど、なんとなく地図を捨てるのはもったいないような気がした。
 実用的に使われない地図がそこにある。それがそこに存在する意味とは。大企業の社長がひとり社長室で、世界地図を眺めてメラメラしているとか、織田信長がまだ見ぬ世界を夢想しながら地球儀を弄んでいるとか、なんとなくそういう感じ。そうか、と思って、自分の部屋、テレビの上あたりの白い壁に、九州の地図を貼ってみた。
 実にまぬけ。全県行ったことがあるので、まだ見ぬ世界ではない。でも、自分が何かで九州を制覇しているわけでもないので、眺めてメラメラする対象として不適切なわけでもない。でもまぬけ。「なんで?」という感じ。