なんかある?

 好きな月の順番は
 12 3 5 11 4 8 2 1 10 6 7 9
 今は、後ろから三番目の六月だけど、この月だって別にそれほど嫌いじゃない。さっきだって、青い小石原焼きの湯のみにインスタントコーヒーを作り、暗くなりかけた庭に下りてタバコを吸い、なんとなく東京千川の夕方を思い出していた。いつも塩からあげ弁当やハンバーグのたねを買っていた肉屋。ある夕刻、その店の前にタクシーがとまり、馴染みと思われるタクシーの運転手と店主が、何かをつまみながらビールを飲んでいた。店主は簡易的なテーブルと腰掛けを店の軒先に持ち出し、二人はそこで東南アジアの人たちのような時間を過ごしていた。
 一年くらい前の、とある女性のことも思い出した。その女性と付き合ったことはないし、好きだった子でもない。ある日の就業後、その女性と同じ用事で連れ立って総務みたいなところに行ったときのこと。
「今思えば、あのときあのタイミングであの言葉が出てくるなんて相当賢い女だな」
 というふうに思い出した。
 そろそろホタルが飛ぶ季節かなと思うけど、川沿いまで歩くのは億劫。そう思って、タバコを吸い終わると部屋に戻った。今日は、また新しい休日の過ごし方をひとつ、見つけられた気がする。よかった。