10何年ぶりに、釣りをしようと思う。気持ち悪いエサが苦手だから、ルアーフィッシング。20代前半のころに、バスフィッシングをやっていた。
 きっかけは、クルマで海を見に行きたいってとこから始まっているんだけど、まだまだ悟りを啓けていないので、ただ海を見るだけじゃつまんない。たぶん海について10分ほども眺めているともう帰りたくなって、何しに来たんだろうって気持ちになることは、想像に難くない。
 だから海を見ながら何かやれることはないかなと考えて、最初は後部座席にアコギでも積んで、録音できるメカも持って行って曲作りでもしてみようかとも思ったが、曲を作ったところでそっから先に進む気が今の俺にはないんだよねえ。バンドをやるとか、スタジオでひとり宅録をしてみるとか、パソコンを使って仕上げてみるとか。
 そんなふうに思っているときに、ふと昔やってた釣りのことを思い出した。確か中国のことわざにこんなのがある。


「その日幸せになりたかったら豚を殺して食べなさい。3日幸せになりたかったら結婚をしなさい。一生幸せになりたかったら釣りをしなさい」


 そんなわけで、クルマを手に入れてからは着々と釣りのことを考えていたんだけど、シーバス(スズキ)のルアーフィッシングがいいかな、と。理由は昔やってたバス釣りに似てるから。
 とは言っても、僕は今まで海釣りには縁がなかったので、シーバスだけじゃなくて色々やってみたい。例えばヒラメをルアーで狙ってみたい。恐らくスズキもヒラメも難易度は高いだろうから、メバルやアジを気軽に釣りに行ってもみたい。そして、とりあえず近所のダムで、昔やってたバス釣りからやってみたい。
 そんな全ての釣りにある程度対応可能な、汎用性のあるロッドとリールを、結構時間をかけてインターネットで吟味したりしていたんだが、今日行った釣具屋にはお望みのものがなかった。なのでバス釣り用のルアーとか、細々としたものをたくさん買ってきた。明日また、別の店舗に行ってみよう。
 しかしまあ、久しぶりにロッドを手に取って振ってみたりしたが、なんだろうあのしっくりくる感じ、あの気持ちよさ。男は細長い道具を手に取って振り回すことに、根本的な快楽を感じるんだろうか?