月曜の朝に

 目を覚ましたらいつもと同じ向きだった。昨日まで見ていた夢が明日現実に変わる、のだとしたら、今日という日はどういうふうに過ごせばいいのだろう。明日からの現実に思いを馳せるのか、昨日までの思い出を噛みしめるのか。
 中学生のとき、学校の行事かなんかでタイムカプセルを作った。僕は確かに、何十年後かの自分への手紙に、「M」の文字を書いた。それが全くの偶然だってことはわかっているけれど。でもだからこそ、運命なのかもしれない。

 マンションの窓の外で、ポテトチップを食べていたあのネコは元気だろうか。
 おいしい塩からあげを作るあのおじさんは元気だろうか。
 あの日新宿で夜を明かしたみんなはどうしてるんだろう。
 あの交差点は、
 あの自転車は、
 あのパチンコ屋は、
 あの公園は、
 あの夫婦は、
 あの親友は、
 あの街は、
 ぜんぶを塗り替えられるのは。

 あの手紙が自分のところに届くのはいつかわからないけれど、夕方を意識する前に夜がやってきた今日みたいな日には、空にありがとうと言いたくなる。いや、言った。