健全な肉体に宿る黒々とした魂

 外出先で鼻水が出まくってしんどかった。帰りに本屋に寄って二冊購入。エッセイも欲しかったが、いいのを探すのがだるかったので、小説二冊。
 帰りの電車の中で高校生二、三人が何をしたのか車掌さんに叱られているようだったが、その態度のふてぶてしさといったら……。感情的にはドアから蹴り落としたいし、そのときに反抗的な態度を取られたら泣き喚いて土下座するまで殴り続けてやる、なんてチラとでも思ってしまうのは、やはり僕が異常なんですかね。案外みんなそんなもんだと思ってるんだが。それを実際にやる人が異常で、やらない人が正常。もちろん僕はやりませぬ。
 親父どのが肌が荒れるのか髭剃りあとが辛いのかしらんが、スキンクリームみたいなものを買っておった。アフターシェーブすらロクにつけたことのない僕だが、おもしろがって風呂上りにつけてみた。というか僕は寒くなって空気が乾燥してくると顔がこふきいもみたいになるので(大げさ)、本当は真面目な気持ちでもそういうのをつけたほうがいいんだが、まあ今日は面白がってつけた。そしてちょっとしたことに気づいた。
 僕はかなり目が悪いので、鏡に極度に顔を近づけてクリームを伸ばしていたんだが、そんなふうにまじまじと自分の顔を見るのは久しぶりのことだと思った。もちろん朝ひげを剃るときや髪を整えるとき、鏡に映った自分の顔をそれとなく見ているが、ここまでまじまじと自分の顔を見たのはほんとに久しぶりだった。そしてそれはとてもいいことだなと思った。一日の終わりに、自分がどういう顔をしているのかまじまじと見るのはいいかもしれん。今日の僕は、なぜか生き生きとした顔をしておりました。生き生きできるような出来事なんてない、冴えない一日だったのにな。