文を読む

アマゾンレビューで評価がよくなかったけれど、「過渡期のつまらなさでは?」というレビューに興味を持ち、ついつい村上春樹の『アフターダーク』を買ってしまった。読んでみたけど、僕から見ればいつも通りなんですけど……。まだ途中だけどね。
純文学好きの人が言う「エンタメ小説のいやなところ」と、エンタメ小説好きな人が言う「純文学のつまらないところ」、そのふたつの欠点を上手に排除し、何も足していないのが村上春樹だと僕は思っています。解体した牛の肉をそのままごろんと転がしたかのように、ただただストーリーをごろんと転がしてある。それをただ楽しむだけ。ってなんか偉そうなこと書いてますね。春樹ファンのかたすいませんということで。でも村上春樹の小説を読んで、例えば「印象的な一文に線を引いたり」「描かれた人間に感銘を受けたり」「ストーリーの展開に驚いたり」「主人公に感情移入したり」する人がいるのだろうかと考えてしまう。彼の作品は、転がされたストーリーを楽しむってとこが一番大きい。ほんとに『おはなし』だと思う。