たこやきみたいでんな〜(解説者福本談)

実は以前書いた「少しおいしくてちょっと変な味のたこ焼き」が、その後僕のなかで「はってでも食べに行きたいたこ焼き」に変わっていたのだが、今日用事で出かけたのはそのたこ焼き屋のある街であり、全ての用事を終えた僕は嬉々としてそれを買い、そのへんの公園に座って二十個を食べた。二十個というと「すげー食うな」と思われるかもしれないが、そこのたこ焼きは小粒なのでちょうどいいのである。
食べ終わったあと、カバンに雑誌を持ってきていたので、タバコを吸いながらぺらぺらとめくろうとしたのだが、どうも雲行きが怪しい。といっても今すぐ夕立が来そうな空でもない。でもいやな予感がして、そそくさとバス停に向かった。するとバス停に着いて十秒後に猛烈な雨が降ってきた。ナイス。考えてみると、例の台風二連発からこっち、ろくな天気がない。いつも不安定な天気である。
そんな展開に心をさらわれ忘れそうになっていたのだが、どうやら僕にとって例のたこ焼きは、今日「はってでも食べに行きたい」という身分からすべりおちてしまったようである。今日でまた、「少しおいしくてちょっと変な味のたこ焼き」に戻った。中学時代に出会い、一ヶ月前に再会したたこ焼き。これからはあの街に出かけたとき、「ああ、そういえばここたこ焼き屋があったな」というくらいで済みそうである。少なくとも、出かけるまえから頭の中が○でいっぱいになってしまうようなことはないはずだ。