たくたんくだたい

 今年もJAFから送られてきたフリーペーパーに、九州の道路地図がついていた。縦1メートル、横60センチくらいの地図。僕の部屋の壁には、すでに去年送られてきたやつが貼ってあるけど、新しい地図のほうが情報が新しかろう、貼りかえるべきだろう。そう思いつつ、そのまま去年のものを貼り続けることにした。面倒くさいので。1年では、きっとそんなに変わらない。
 それにしても部屋に九州の地図が貼ってあるマヌケ感は、相変わらず良い。宇宙の果てにまで思いを馳せることのできる現代の我ら人類ではあるけど、たかだか九州でさえも、行ったことのない地域はたくさんある。この島のなかでさえ、ぐるりとできていない。
 ぴょーんと飛行機でどこか遠くの点に向かう旅もいいけど、認識している地域を面で塗りつぶすような旅をしたい。面は無理か。線だな。線でなぞる旅。面で塗りつぶそうと思えば、その土地に住むしかないだろう。僕がものすごいお金持ちだったら、1ヶ月ごとに色々な地域に住みたい気もする。
 七夕は今夜から明日未明って感じでいいのかな。雷光煌めく大雨の七夕。昔なら、「一年に一度なのにこんな大雨じゃ織姫と彦星は会えないね」なんてロマンチッカーなことを考えたんだろうけど、今では「なんとしてでも来て」と願う織姫と、激流をがむしゃらに突き進もうとする彦星じゃないとだめだよね、なんて思う。なにかをくぐりぬけている。とりあえず僕には、お金をたくさんください。