悪魔より敵対者

 とある街のとある場所にある自動販売機の前を通るとき、いつもだいたい同じ時間になる。そして僕と同じように、いつもだいたい同じ時間に飲み物の補充をしている人がいる。その場所には三種類くらいのメーカーの自販機が並んで立っているのだけど、ジョージア系の自販機は、僕が通るときいつも「補充中」だ。
 そんなわけで、いつも他のメーカーの自販機で飲み物を買うことになるわけだけど、毎度毎度こういうことが続くと結構気まずい。働いている人が「ああ、俺の補充のタイミングが悪いから売り上げが落ちてしまった」と思ってしまうんじゃないかと思うのだ。ほんとに毎回のことなので、彼にしてみれば、僕は悪魔のような存在なのかもしれない。きちんとやっているのに、タイミングのせいで物事がどうしてもうまくいかない、というような。
 だから僕はいつも、「ジョージア系の飲み物には全く興味がねえ」という顔をして他の自販機で買っている。毎回毎回「ああ、この自販機で買いたかったのにな……」という残念な顔をするよりマシだろう。