石橋を叩き割るということ

 やや面白そうな上下巻の小説を見つけて「買うかー」と左手に上巻、右手に下巻を持ったところで、いやいや待てまて落ちつけ、こういうときは得てして“中巻”なんてものがあったりするんだ、積み上げられた本の陰にね、と思いつつ慎重にチェックしたが中巻は見当たらず、やはりこれは上下巻二冊の小説なのだと納得し買ったあの日の俺はとても慎重で偉かった。
 本日ようやくその上巻を読み終わり、さて下巻に突入しますかとカバンのなかに放り込んだままのそれを取り出すと上巻が出てきた。なるほど。