昨日のはなし

 陽気に誘われてふらふらと散歩していると、うちの近所にも見事な坂があることに気づいた。古い伝説があり、なおかつしなびていて、境内には何本かの巨木が息づいている、そんな神社の横を上る坂道。道の両側には、境内の巨木とは対照的に、わりと若い桜の木が並んで立っている。これならタモさんも納得、という感じの坂道だ。朽ち果てそうな建物の茶色と、冬の季節の湿った地面の茶色、それから巨木が纏う年季の入った茶色い肌。そしてまだ、桜も茶色。この茶色一面の景色に、淡いピンク色がそえられるのはもうすぐだな。