Hey

 わりとあったかめの晴れた空。でも春が来るのねえという気持ちにはならず、なぜか秋みたいな空やな、と思ってしまった。そんな秋っぽい空の下を散歩。昨夜から九時間も寝たので清々しい。昨日とは違う次の日がちゃんと来た感じがした。
 散歩途中に近所のラーメン屋でネギ味噌ラーメン(辛目)を食べた。僕が好きなのはとんこつラーメンだが、たまに違うやつも食べたくなる。
 そういえば日記に「まあまあうまいラーメン屋で昼食」とたまに出てくるけど、そのラーメン屋が横浜(?)のラーメン甲子園なるイベントで優勝したらしい。僕が「まあまあだな」と思う店ばかりが関東に進出したり有名になったりする。関東人はほんとにうまいラーメンを知らないんだな、などという皮肉を込めるつもりはなくて、福岡人が少し物足りなさを感じる程度が、他の地域の人の舌に合うのではないかと思っている。僕が心底うまいと思うとんこつラーメンは、他の地域の人が食べたら「くせー」とか言いそう。


 そういえば昔、僕と同じ年に福岡から関東に出て行った友達がいたんだけど、彼は関東では決してラーメンを食べなかった。たまに会ったときに、僕が「ラーメン食べにいこうか?」と言っても絶対に食べないのだ。その理由は「こっちのラーメン高いしまずいし」。たぶん彼が向こうに行って試しに入った最初の数軒がひどかったのだろう。
 彼とは大学が違ったし、住んでいたところも結構離れていた。だから数ヶ月に一回、大学を卒業してからは年に一回、なんて頻度でしか会わなかったが、彼の口に麺がすべりこまれていくことは一度もなかった。彼の決意は、数ヶ月、一年に一回という長いスパンの中でぽつんぽつんと僕の脳に刻み込まれるものだから、僕は会うたびに彼の意志が鉄のように硬いことを実感した。ちなみにこの人は高校のときに「俺は二十歳になったらタバコをやめる」と宣言していて、ほんとにやめてしまった人である。僕が東京を離れるときの飲み会で、「たばこ? ああ、やめた日から吸いたいと思ったことないよ」などと平然と言ってのけた人でもある。まあそれはともかくとして。
 僕は十年近く東京で暮らし、今は福岡でラーメンを食べたりしている。千葉に住んでいる彼は、やっぱり今でもラーメンを食べないのかな。