しとしと

昼過ぎから用事で出かける予定だった。朝から雨が降っていて、まあそれだけが理由じゃないけどかなり出かけるのが面倒くさい気分で午前中を過ごした。それにしても秋雨前線がもたらす雨というと、勝手にしとしととした雨を想像していたが、結構ざあざあ。
昼前になって、親父がどこかに出かける。あれ、おかしいな。そのあとテレビをつけてぼんやり眺めてみる。やっぱりなんか違和感がある。パソコンもつけてメッセを立ち上げてみると、いるはずのない数人の名前がオンライン。それを見て初めて気づく。今日が休日ということに。今日やろうとしていた用事は平日にしかできない用事だったので、午後からの予定は全部なしにして部屋で一日中ごろごろしていた。
そんなわけで昼寝をしていたら、庭から犬の鳴き声が聞こえてきて起こされた。最初野良犬かなと思ったんだけど、「キャンキャン」とすごい悲鳴。野良犬が人の家の庭に勝手に入ってきて悲鳴をあげ続けるなんてどう考えてもおかしいので見てみると、なんか毛むくじゃらの犬が繋がれていた。居間から親戚の叔母さんと従姉妹の声が聞こえてきて、たぶん連れてきた犬を車のなかに置いとくのが不安だか可哀想だかで庭に繋いだんだろう。
その後叔母さんたちとうちのばあさんは犬を繋いだままお寺参りに出かける。ちょうどそのころ雨が弱まり、しとしととした雨が犬の長い毛を濡らし続けていた。