だーいぶ前に日記に書いたと思うんだけど、駅前の商店にいらっしゃった白い子犬様が、今ではもうすっかり大人になっている。ヤツが子犬のころはかなり可愛がってやったもんだが、昨日久しぶりにはちあわせると「ワン! ウゥゥー ワンワン!」と忘れてやがる。しかもかなりでっかくなってしまったので、正直言って恐い。あんな犬になってしまうとは、おにいさんは嘆かわしい。
 凶暴犬になってしまった原因を考えてみるに、おそらく自動販売機が悪かったのだろう。その商店の前にはタバコの自販機が一台と、飲み物の自販機が二台、合わせて三台の自販機が置いてある。昨日僕はそこで缶コーヒーを買ったわけだけど、まず自販機に近づいていっている時点で犬は吠えている。たぶん自販機が「自分ちのもの」だとわかっているのだろう。僕は小銭を入れる。ガチャガチャと音がする。犬はさらに激しく吠える。ボタンを押す。ガタタン! と激しい音がしてコーヒーが出てくる。犬は狂ったように吠える。人間である僕から言わせてもらうと、ただただ単純に、正しく缶コーヒーを買っているわけだけど、犬にしてみれば自分ちのものに何か悪さをし、激しく音を立てて物を奪っていく人に見える、ということじゃなかろうか。そして自販機を使う人なんて山ほどいるわけで、つまりあの犬は子犬のころからずっと、目の前で泥棒され続けているのだ。さぞかし口惜しい人生(犬生)だろうなあと思うのである。