推敲

 ここ二、三日、公私ともにちょっとバタバタしていた。と言っても、時間的に余裕がなかったというわけじゃなくて、非常にマルチタスクな状態だったというだけ。こういう状態って疲れるというより余裕がなくなる。自分を取り巻く状況を把握できなくなる感じ。すごく慌しくしていたんだけど慌しかったのだけど、「じゃあ何が忙しかったの?」と聞かれても、「さあ?」というね。自分の身に何が起こっていたのか思い出せない。駆けぬけていったひとつひとつが思い出せない。
 ところで何度か書いているけど、うちは異様に晩メシの時間が早くて(、)夕方の六時とかぐらいに食ってしまう。すると深夜になるとすごく腹が減るわけで、晩メシ食べたあとは物を食べないと決めている僕としては、つねづね晩メシの時間が遅くならないかなあと思っている。晩メシを食べたあとは何も食べないと決めている僕としてはつらい。
 で、今日は親父が何かの会の旅行で出かけ、母も何かの会で遅くなる、という状況だった。僕は一日中家で仕事をしていて、両親がいないなら今日は八時くらいに自分で晩メシ作って食べようと、今日は遅い晩メシを食べるチャンスだ! とまで思っていたんだけど、今夜は自分で晩メシを作って食べようと思っていた。八時くらいに晩メシを食べるチャンス。でも残念、そうはならなかった。
 うちにはばあさんがいて、ばあさんから見れば、僕は今でも小さな孫のままなんだよな。僕が十年くらい一人暮らしをしたことも、もう何年も自力で金を稼いでいることも、つまりすっかり大人におっさんになっていることが、彼女の頭の中にはない。「私が両親親に代わって孫の晩ごはんを作らなければ!」という。
 結局彼女は、夕方の四時くらいにはすでにそわそわとし始めたしていた。そして「今から晩ごはん作るからね」と高らかに僕に宣言したのが五時。高らかな宣言を僕にしたのが五時。私がしっかりしないと孫が餓死してしまう! そんな雰囲気だった。結局いつもより早い五時半に晩ごはんを食べ、深夜一時の今、僕はとてもお腹を空かせている。