飛行する栄光

うっかりテレビの『鳥人間コンテスト』に見入ってしまった。別に大好きな番組でもないんだけどついつい見てしまったわん。しかもなぜか、毎年何気なくふっとテレビをつけると放送されている。その悪魔的なタイミングとなんとなくの気持だけで、ほとんど毎年観ているかもしれない。

あのコンテストで僕がいいなあと思うのは、成績と栄光の時間が比例すること。これはね、どんなスポーツにもあまり見られないものですよ。例えばオリンピック百メートル走。四年間の努力が必ず約十秒に結実するわけです。金メダルの人も予選落ちの人も、等しくだいたい十秒なんです。シビアに言うと反比例していて、強い人ほど栄光の時間は短くなる。四年間の努力がたった十秒。これはまあ極端な例だけど、他にも格闘技、野球、サッカー、水泳も、「強いほど勝利を味わえる時間」が長くなるわけではない。まあ予選→決勝とか、トーナメントとかで試合数が増えるってのはあるけど、一試合の時間は敗者も勝者もほぼ変わらない。

そこへいくと鳥人間コンテストはすごい。勝つものは長い時間飛び続け、負けるものは一瞬で終わる。設計士も操縦士も応援団も、成功すればするほど歓喜の時間が長くなる。勝つものは、一年間の苦労を一時間以上も噛みしめることができる。逆に大失敗して発射台からまっさかさまに落ちると、ほんの二、三秒で終わってしまう。一年間の苦労が二、三秒。観ているとそんな短い時間では「残念だ」って表情すらできないみたい。

と、ごちゃごちゃ書いてきましたが、僕があの番組で一番好きなのは、優勝候補ともくされる自信満々チームの飛行機が、発射台からまっさかさまに落ちたりするところです! 成功したら長時間、失敗したら二秒ってほんとにイイ。